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辺野古埋め立て承認を受けた主要紙の社説 [普天間]

気がつけば、1年以上のご無沙汰をしてしまった。m(_ _)m

昨日、仲井真弘多知事が、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた政府の埋め立て申請を承認した事を受けて、主要紙は一斉に社説を掲載したのでこれを概観する。

まず、地元二紙は激しくこれを非難する。
琉球新報社説  知事埋め立て承認 即刻辞職し信を問え 民意に背く歴史的汚点2013年12月28日
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-217223-storytopic-11.html
 仲井真弘多知事が、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた政府の埋め立て申請を承認した。「県外移設」公約の事実上の撤回だ。大多数の県民の意思に反する歴史的汚点というべき政治決断であり、断じて容認できない。(以下略)

沖縄タイムス 社説 [知事埋め立て承認] 辞職し県民に信を問え2013年12月28日 06:00
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=59679
 政治家の命綱である「選挙公約」をかなぐり捨てた姿というほかない。だが、本人はそうは思っていない。埋め立ては承認したが、「県外移設」の公約は変えていない、という。県外移設を実現するために、政府から何の担保も取っていないのに、である。こんな説明で県民の理解が得られるとほんとに思っているのだろうか。(以下略)


毎日朝日も似たような論調である。

毎日新聞 社説:辺野古埋め立て 県民は納得していない
 2013年12月28日 02時31分(最終更新 12月28日 11時58分)
http://mainichi.jp/opinion/news/20131228k0000m070119000c.html
  沖縄県の仲井真弘多(ひろかず)知事は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた国の公有水面埋め立て申請を承認した。1996年の普天間返還合意から17年たって、移設問題は新たな段階を迎えた。だが県内移設となる辺野古の埋め立て承認は、知事の「県外移設」の選挙公約と矛盾するなど多くの問題をはらんでいる。(以下略)

朝日新聞 辺野古埋め立て―沖縄の負担を分かちあう
2013年12月28日(土)付
http://www.asahi.com/paper/editorial.html
http://www.asahi.com/articles/DA2S10902345.html
 米軍普天間飛行場を移設するため、名護市辺野古の海の埋め立てを認める。  沖縄県の仲井真(なかいま)弘多(ひろかず)知事が、そんな判断を下した。  宜野湾市の市街地の真ん中にある普天間飛行場は「世界一危険な基地」とも呼ばれる。その返還に、日米両政府が合意して17年。移設問題は新たな段階に入ったことになる。  普天間の危険は一刻も早く除かなければならない。だからといって在日米軍基地の74%を抱える沖縄県内に新たな基地をつくらなければならないのか。  移設計画への反発は強く、朝日新聞社などが県内で今月中旬に実施した世論調査では、64%が埋め立てを承認すべきではないと答えた。  知事は3年前に「県外移設」を掲げて再選された。なのになぜ埋め立てを認めるのか。知事は、県民の批判や失望を覚悟しなければならない。(以下略)


他方、前向きに捉えるのが読売と産経

読売新聞 辺野古移設承認 日米同盟強化へ重要な前進だ(12月28日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20131227-OYT1T01260.htm
 ◆沖縄の負担軽減を加速させたい
 1996年の日米合意以来、様々な曲折を経てきた米軍普天間飛行場の移設問題の解決に向けて重要な前進である。  沖縄県の仲井真弘多知事が、普天間飛行場の名護市辺野古への移設に伴う公有水面埋め立てを承認した。  普天間問題はこの17年間、日米間の最大の懸案で、膨大な時間と精力が注がれてきた。日米両政府、沖縄県、名護市、米軍など多くの関係者が複雑な事情を抱える、困難な連立方程式だからだ。  これまでの苦労を無駄にせず、難題を克服することは、日本の安全保障環境が悪化する中、同盟関係をより強靱(きょうじん)で持続可能なものにするという大きな意義を持つ。
 ◆知事の決断を評価する
 仲井真知事にとっては、まさに苦渋の決断だったろう。  当初は、辺野古移設を条件付きで支持していたが、民主党の鳩山首相が「最低でも県外移設」と県民の期待を無責任に煽(あお)ったため、2期目の知事選公約に「県外移設」を掲げざるを得なくなった。  しかし、埋め立てを承認しなければ、普天間飛行場の危険な現状が長期間にわたって固定化されてしまうのは確実だ。(以下略)

産経新聞 辺野古承認 重い決断受け着工急げ 国民全体で抑止力考えたい
2013.12.28 03:11 (4/4ページ)[主張]
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131228/plc13122803120004-n4.htm
 長年の懸案だった米軍普天間飛行場の辺野古移設が、実現に向けて大きく前進した。
 沖縄県の仲井真弘多知事が、政府による辺野古沿岸部の埋め立て申請を承認すると発表した。時間はかかったが、根強い反対論の中で、知事が国益と県民の利益の双方を考えたうえで下した重い決断を評価したい。  県との信頼を醸成し、基地負担軽減や最大規模の沖縄振興策で応えた政府の後押しも奏功した。  わが国を取り巻く安全保障環境は急速に悪化している。難しい課題は残るが、国民と領土を守るために必要な移設実現への取り組みを加速しなければならない。(以下略)


僕の考えは日経に近い。

日経新聞 沖縄の決断に応え普天間の早期移設を
2013/12/28付
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO64714420Y3A221C1EA1000/
 17年も立ち往生が続く問題に、解決の糸口がみえてきた。米軍普天間基地を沖縄県名護市辺野古に移設するのに必要な埋め立てを県知事が承認した。政府は早期に移設が進むようにさらなる努力を払わなければならない。  「基地負担を全国で分かち合う動きが出始めている」。沖縄県の仲井真弘多知事は承認発表の記者会見で、安倍内閣が打ち出した米軍訓練の半数を本土に移すなどの方針を高く評価した。  第2次大戦で全国で唯一、一般住民を巻き込む地上戦を経験し、戦後は長く米施政下に置かれた沖縄の県民には「日本に見捨てられた」との被害者感情がある。  基地反対運動は事故や騒音をなくしたいだけではなく、全ての日本人が同じ苦しみを味わっているのかという叫びでもあった。政府のみならず、全国民がこの思いを心し、各地で自ら訓練を受け入れるようにしなければ移設作業は再び暗礁に乗り上げよう。  年明けに移設先の名護市の市長選がある。宜野湾市の住宅密集地にある普天間基地が抱える事故の危険をどう取り除くのかなど原点に立ち返り、早期の移設の必要性を沖縄県民や名護市民に理解してもらう努力が欠かせない。(以下略)


僕が普天間移設に関心を寄せるようになって丸4年が経った。
奇しくも、当ブログで「普天間はなぜ移設せねばならぬのか?」という記事を載せたちょうど4年後の昨日、沖縄知事が埋め立て申請を承認したことになる。
政権交代による回り道で、ちょうど4年遅れたということだ。

ただ遅れただけではない。
あの頃と今では、沖縄県内の政治情勢は余りにも違いすぎる。
当時は、曲がりなりにも知事も名護市長も辺野古移設を容認する立場だった。
それが今では両者とも県内移設に反対の立場となってしまった。

そのような県内の雰囲気を作り出したのは「最低でも県外」という空手形だった。
素人が政治をすることが、如何に恐ろしいかよく判る。

普天間移設の政府方針を受けての五紙+地元二紙の社説 [普天間]

ついに普天間移設先に関する政府方針が出た。
福島消費者相を罷免してまで「辺野古」を明記した。
hatoyama.jpg
読売より
「辺野古」明記、政府が対処方針を決定
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20091215-481540/news/20100528-OYT1T01050.htm
 政府は28日の臨時閣議で、米軍普天間飛行場移設に関する対処方針を決定した。
 政府は当初、社民党への配慮から移設先の具体的地名を外していたが、最終的に沖縄県名護市の「(米軍)キャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域」への移設方針を明記した。
 沖縄の基地負担軽減のため、「沖縄県外への訓練移転」「環境面での措置」「米軍と自衛隊との間の施設の共同使用」などを速やかに実施するとした。
 こうした措置を実施するため、沖縄県などの「理解」を得るべく努力するとし、地元自治体の説得を継続する方針を示した。
(2010年5月28日22時31分 読売新聞)

結局昨年末の僕の予想の通りになった。
http://taro-iseki.blog.so-net.ne.jp/2009-12-27
僕の予想?
他の候補地を一応挙げた上で結局辺野古に戻ると思う。
ただ…現行案では収まらないだろうから
今もやっている移転訓練を新たに広げるのと
更に振興策の上積みをすることになるのだろう。

つまり…それだけお金が余分にかかるということだ。
鳩山政権は、何をするにも出費のかさむ政府となるだろう。

予想が当たったからって嬉しくもないケースだ…

それはともかく、各紙の社説を見てみれば…
今回はいつもの五紙に加えて地元の二紙(琉球新報・沖縄タイムス)だ。
論点を抽出すると
①鳩山総理の無責任/不信(読売・朝日・日経・産経・毎日・琉球新報・沖縄タイムス)
②日米同盟の重要性(読売・日経・産経・毎日)
③退陣を求める/次期参院選で国民の信を問う(朝日・産経・毎日・琉球新報・沖縄タイムス)

④辺野古の是非については
 辺野古決定を是認(読売・日経・産経)
 辺野古決定を批難(琉球新報・沖縄タイムス)
 地元の説得が重要(朝日・毎日)

⑤福島大臣の罷免については
 罷免を是認(読売・日経・産経)
 罷免を非難(琉球新報・沖縄タイムス)
 政権への打撃(朝日)

以下引用する。
普天間日米合意 混乱の責任は鳩山首相にある(5月29日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20100528-OYT1T01139.htm
 日本政治と日米関係を混乱させた末、「国民との約束」を簡単に破る。一応謝罪はするが、責任はとらない。これが鳩山首相の本質だろう。
 日米両政府は、米軍普天間飛行場の移設先を沖縄県名護市辺野古周辺と明示した共同声明を発表した。日米合意に反対し、閣議での政府対処方針への署名を拒否した社民党党首の福島消費者相を、鳩山首相は罷免した。
 連立与党の一角を担う党首とはいえ、政府方針に同意しない以上、罷免は当然である。

 ◆福島氏罷免は当然だ◆
 鳩山政権が、展望のない県外移設を断念し、辺野古沿岸部に代替施設を建設する現行計画にほぼ回帰したのは、現実的判断だ。
 だが、方針転換がいかにも遅すぎた。昨年までは現行計画を容認していた地元が反対に転じており、実現のハードルは高い。辺野古移設は迷走の末、元に戻ったというより、政権発足前より悪い状況に陥ったにすぎない。
 政府は、日米合意の実現に向けて、沖縄県や名護市の説得に全力を挙げるべきである。
 共同声明は、沖縄の負担軽減策として、米軍訓練の分散移転や、自衛隊と米軍による米軍施設の共同使用など8項目を掲げた。
 ただ、その多くは、代替施設建設の進展に応じて「検討」するとされているだけだ。負担軽減がどの程度実現するかは不透明だ。
 政府は当初、県内移設に反対する社民党に配慮し、日米の共同声明にある移設先の「辺野古」を、対処方針には明示しない方向で調整していた。だが、福島党首の罷免に伴い、対処方針にも「辺野古」を明記した。
 「二重基準」をとらなかったのは当然のことだ。民主党には、社民党が政権を離脱し、参院選での選挙協力ができなくなる事態を避けたい思惑がある。だが、選挙目当てで、安全保障にかかわる問題をあいまいにすべきではない。
 社民党は、「日米安保条約は平和友好条約に転換させる」「自衛隊は違憲状態」との見解を維持している。そもそも、民主党が、基本政策の異なる政党と連立を組んだこと自体に無理があった。
 鳩山首相自身が、「常時駐留なき安保」を持論とし、“米国離れ”志向を見せていたことも、混乱を招く一因となった。

 ◆社民との連立解消を◆
 社民党は、県内移設に反対するばかりで、実現可能な対案を出さなかった。普天間問題の迷走への責任は免れない。
 社民党との連立が続く限り、外交・安保政策をめぐり、対立が繰り返されるだろう。首相は、この際、社民党との連立解消をためらうべきではあるまい。
 首相は、問題決着に「5月末」の期限を自ら設けた。それまでに沖縄県、移設先の自治体、米国、連立与党の同意を得ると「大風呂敷」を広げたうえ、最近まで「職を賭す」などと言い続けた。
 ところが、実際は、米国との合意を得ただけで、沖縄も移設先も社民党も反対している現状は、これらの発言を裏切るものだ。
 政府の最高責任者が「国民との約束」を反故(ほご)にすれば、政治への信頼は地に落ちる。
 鳩山首相は28日夜の記者会見で「誠に申し訳ない思いでいっぱいだ」と謝り、「今後も粘り強く基地問題に取り組むことが自分の使命だ」と強調したが、単なる謝罪で済まされるものではない。
 これは、鳩山政権が、普天間問題に詳しい官僚を外し、知識と経験、洞察力の乏しい首相と担当閣僚がバラバラで場当たり的に取り組んだ結果である。
 名ばかりの「政治主導」で、重大な失政を犯しながら、首相も担当閣僚も責任をとらず、民主党内から強い批判も出ないのは、あまりにお粗末だ。
 鳩山首相は、その資質に深刻な疑問符が付いている。首相発言は日替わりのように変わり、指導力も決断力も発揮できなかった。
 政治で問われるのは結果責任だ。努力したが、できなかったでは、誰も評価しない。
 首相に求められるのは、自己流の「思い」を語ったり、会談相手に迎合したりすることではない。着地点を見極めつつ、閣僚と官僚を使いこなし、最後は自ら決断して問題を解決する実行力だ。

 ◆同盟強化が緊急の課題◆
 鳩山首相の力量不足により、日本政府と米国や沖縄県、関連自治体との信頼関係は、大きく損なわれてしまった。
 北朝鮮の魚雷攻撃による韓国軍哨戒艦沈没事件で、朝鮮半島情勢は緊迫している。中国軍の増強や示威的活動の多発など、不透明な東アジア情勢を踏まえれば、日米同盟の強化は緊急の課題だ。
 政府は、その視点を忘れず、道半ばの普天間問題の解決に真剣に取り組まなければならない。
(2010年5月29日01時14分 読売新聞)

首相の普天間「決着」―政権の態勢から立て直せ(朝日)
http://www.asahi.com/paper/editorial20100529.html
 これが、鳩山由紀夫首相の「5月末決着」の姿だった。深い失望を禁じ得ない。
 米海兵隊普天間飛行場の移設問題は最後まで迷走を続けたあげく、政府方針が閣議決定された。臨時閣議に先立ち発表された日米共同声明とともに、移設先は名護市辺野古と明記された。
 これは、首相が昨年の総選挙で掲げた「最低でも県外」という公約の破綻(はたん)がはっきりしたことを意味する。首相の政治責任は限りなく重い。
 首相は決着の条件として、米国政府、移設先の地元、連立与党のいずれの了解も得ると再三繰り返してきた。
 しかし、沖縄は反発を強め、訓練の移転先として唯一明示された鹿児島県徳之島も反対の姿勢を崩していない。
 社民党党首の福島瑞穂・消費者担当相は国外・県外移設を貫くべきだとして方針への署名を拒み、首相は福島氏を罷免せざるをえなくなった。連立の一角が崩れたに等しい打撃である。
 「5月末決着」という、もうひとつの公約すら守れなくなることを恐れ、事実上、現行案に戻ることで米国とだけ合意したというのが実態だろう。
 地元や連立与党との難しい調整を後回しにし、なりふり構わず当面の体裁を取り繕おうとした鳩山首相の姿は見苦しい。

■同盟の深化も多難
 この「決着」は、大きな禍根を二つ残すことになろう。一つは沖縄に対して。もう一つは米国政府に対して。
 沖縄県民には、今回の政府方針は首相の「裏切り」と映るに違いない。
 政権交代の結果、普天間の県外移設を正面から取り上げる政権が初めて誕生した。県民が大きな期待を寄せたのは当然であり、そのぶん反動として幻滅が深くなることもまた当然である。
 日米合意は重い。だが辺野古移設は沖縄の同意なしに現実には動くまい。首相はどう説得するつもりなのか。
 それが進まなければ、2014年までの移設完了という「日米ロードマップ」(行程表)の約束を果たすことも極めて困難になる。それとも強行という手段をとることも覚悟の上なのか。
 一方、米国政府に植え付けてしまった対日不信も容易には取り除けまい。
 きのうの共同声明は「21世紀の新たな課題にふさわしい日米同盟の深化」を改めてうたった。両国が手を携えて取り組むべき「深化」の課題は山積している。だが、普天間問題の混乱によるしこりが一掃されない限り、実りある議論になるとは考えにくい。
 私たちは5月末の期限にこだわらず、いったん仕切り直すしかないと主張してきた。東アジアの安全保障環境と海兵隊の抑止力の問題も含め、在日米軍基地とその負担のあり方を日米間や国内政治の中で議論し直すことなしに、打開策は見いだせないと考えたからだ。その作業を避けたことのツケを首相は払っていかなければならない。

■「問い」あって解なし
 普天間問題の迷走は、鳩山政権が抱える弱点を凝縮して見せつけた。
 成算もなく発せられる首相の言葉の軽さ。バラバラな閣僚と、統御できない首相の指導力の欠如。調整を軽んじ場当たり対応を繰り返す戦略のなさ。官僚を使いこなせない未熟な「政治主導」。首相の信用は地に落ち、その統治能力には巨大な疑問符がついた。
 もとより在日米軍基地の75%が沖縄に集中している現状はいびつである。県民の負担軽減が急務ではないかという首相の「問い」には大義があった。
 しかし、問いに「解」を見いだし、実行していく力量や態勢、方法論の備えが決定的に欠けていた。
 普天間に限らない。予算の大胆な組み替えにしても「地域主権」にしても、問題提起はするものの具体化する実行力のなさをさらしてしまった。
 首相と小沢一郎幹事長の「政治とカネ」の問題や、利益誘導など小沢氏の古い政治手法も相まって、内閣支持率は20%を割り込むかというところまできた。鳩山政権はがけっぷちにある。
 55年体制下の自民党政権であれば、首相退陣論が噴き出し、「政局」と永田町で呼ばれる党内抗争が勃発(ぼっぱつ)するような危機である。
 しかし、鳩山首相が退いても事態が改善されるわけではないし、辞めて済む話でもない。誰が首相であろうと、安保の要請と沖縄の負担との調整は大変な政治的労力を要する。そのいばらの道を、首相は歩み続けるしかない。
 そのためには民主党が党をあげて、人事も含め意思決定システムの全面的な再構築を図り、政権の態勢を根本から立て直さなければならない。

■参院選の審判を待つ
 何より考えるべきなのは鳩山政権誕生の歴史的意義である。有権者が総選挙を通じ直接首相を代えたのは、日本近代政治史上初めてのことだ。
 政治改革は政権交代のある政治を実現した。永久与党が短命政権をたらい回しする政治からの決別である。選ぶのも退場させるのも一義的には民意であり、選んだらしばらくはやらせてみるのが、政権交代時代の政治である。
 歴史的事件から1年もたたない。政治的な未熟さの克服が急務とはいえ、旧時代の「政局」的視点から首相の進退を論じるのは惰性的な発想である。
 普天間への対応も含め、鳩山首相への中間評価は間もなく参院選で示される。首相は「5月末」は乗りきれても、国民の審判からは逃れられない。

取り返しつかぬ鳩山首相の普天間失政(日経)
http://www.nikkei.com/news/editorial/article/g=96958A9693819699E0EAE2E2E58DE0EAE2E7E0E2E3E28297EAE2E2E2;n=96948D819A938D96E38D8D8D8D8D
 罪万死に値する失政である。
 鳩山由紀夫首相が繰り返し表明した5月末までに米軍普天間基地の移設問題を決着させるという約束はほごにされた。日米両政府は普天間基地の移設先を沖縄県の「名護市辺野古」周辺と明記した共同声明を発表したが、代替施設の工法などの決定は8月末に先送りした。
 連立政権内の調整は土壇場まで迷走。辺野古への移設に反対し、閣議での署名を拒んだ福島瑞穂消費者・少子化担当相(社民党党首)を首相が罷免する事態にまで発展した。

自ら信頼を損ねた愚

 福島担当相の罷免に伴い、当初は社民党に配慮して具体的な地名を盛り込まない予定だった政府の対処方針にも辺野古と書き込み、ようやく閣議決定にこぎつけた。首相の政権運営には民主党内からも批判が出ており、求心力は一段と低下しよう。
 しかも沖縄県名護市など地元の同意は得られておらず、社民党は辺野古への移設に強く反発している。移設のめどは全くたっていないのが実態だ。普天間基地が現状のまま固定化される恐れが強まっている。
 政権発足から8カ月間にわたる迷走で、首相の言葉の軽さばかりが目立った。首相は普天間移設が日米同盟の根幹にかかわる問題であるという認識を欠いたまま、場当たりの対応に終始し、指導力を示せなかった。首相としての資質そのものが疑われるという深刻な事態を招いている。その責任は極めて重い。
 首相は28日の記者会見で5月末決着ができなかったことを陳謝したうえで「今後も粘り強く基地問題に取り組み続けることが自分の使命」と述べ、続投する考えを示した。「この問題の全面的な解決に向けて命を懸けて取り組まねばならない」とも語ったが、この言葉を素直に受け取れる人はどれほどいるだろうか。
 首相が福島担当相を罷免したのは当然だが、それにとどまらず社民党との連立を解消するのが筋だろう。安全保障という重要政策で根本的な意見対立を抱えたまま連立を維持するのはおかしい。選挙対策優先で連立を続けるなら本末転倒だ。
 普天間問題がこじれた一因は、首相が昨年秋の政権交代前から、普天間の移設先は「最低でも県外」と約束し、沖縄の期待をあおったことにある。沖縄は当時、名護市辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸部への移設を定めた2006年の日米合意を容認する姿勢をにじませていた。しかし鳩山氏の発言もあってこうした空気は変化し、県外ないしは国外への移設を求める声が勢いづいた。
 首相の「県外発言」は自民党政権との違いを出すことが目的で、米側の意向やアジアの安全保障情勢を踏まえたものではなかった。米側との協議は初めから難航したが、首相は軌道修正せず、3月下旬になっても「極力、県外」をめざすと言い張り、混乱に拍車をかけた。
 日米両政府が最終的に、現行計画をほぼ踏襲し、辺野古への移設を盛り込んだ共同声明をまとめたことは評価できるが、前途は多難だ。11月の沖縄県知事選で県内移設を拒否する知事が誕生すれば、解決はさらに遠のくことになろう。
 06年の日米合意が白紙に戻り、住宅地が密集する地域に普天間基地がいつまでもとどまるという、最悪の結末になりかねない。約8000人の米海兵隊員のグアム移転をはじめ、日米が合意しているさまざまな沖縄の負担軽減策も宙に浮く。

 日米同盟のきずなも強く傷ついた。オバマ大統領に「トラスト・ミー(信頼してほしい)」と言ったにもかかわらず、決着を先送りした首相への米側の不信感は根強い。

辺野古案しかありえぬ

 混乱を招いた大きな原因は、なぜ日米同盟が必要なのかという基本的な知識すら、首相が持ち合わせていなかったことだ。首相は有事に即応できる沖縄の米海兵隊が果たしている紛争抑止力について、当初、理解していなかったことを認めた。米海兵隊が沖縄にいなくても、抑止力に支障がないと考えていたという。
 しかし日本とアジアの安定にとって、在日米軍による抑止力が必要であることは言うまでもない。日米同盟の修復を急がねばならない。
 韓国哨戒艦の沈没事件で朝鮮半島情勢が緊迫するなか、北朝鮮が新たな軍事的な挑発に出るかもしれない。中国は海軍力の増強を加速しており、海上自衛隊の護衛艦に異常接近する事件が相次いだ。こうした危険に囲まれた日本の安全を守るには、強固な日米同盟が欠かせない。
 とりわけ重要な役割を担うのは、朝鮮半島や台湾海峡に近い、沖縄の在日米軍だ。普天間などの米海兵隊基地を沖縄から撤去できないのはこのためだ。政府はこうした事情を丁寧に地元や国民に説明し、普天間基地の辺野古への移設に支持を取りつける責任がある。それを再確認するきっかけにするしかない。

【主張】普天間日米合意 国益損なう首相は退陣を 逃れられぬ迷走と失政の責任(産経)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100529/plc1005290304008-n1.htm
 目を覆うばかりの失政が続いている。米軍普天間飛行場移設に関する日米共同声明がようやく発表され、「辺野古」が明記された。当然だが、遅きに失した。
 昨秋以来、鳩山由紀夫政権は迷走を続け、現行計画とほぼ同じ内容を沖縄県などが受け入れるのは当面絶望視されている。「最低でも県外」と鳩山首相が県民感情をあおったためである。これでは閣議決定された政府対処方針も画餅(がべい)にすぎないではないか。
 「5月末までに決着させる」とした首相の約束は果たせなかった。その政治責任は極めて重大だ。しかも首相は尖閣諸島の領有権に関して、日中間の当事者が話し合いで結論を出すと表明した。尖閣諸島が日本固有の領土であることへの認識すらない。
 一国の平和と繁栄の責務を担う最高指導者として不適格と言わざるを得ない。国益を損なう「愚かな首相」は、一刻も早く退陣すべきである。
 問われる政治責任の第一は、4月の党首討論で「米政府、地元、連立与党との合意をすべて達成する」と約束しながら、米との一定の合意しか取り付けられなかったことだ。首相は28日夜、「申し訳ない思いでいっぱいだ」と国民に謝罪したが、進退に関して責任をとる姿勢は見せなかった。
 首相は沖縄県などの負担軽減に努力したことを会見で強調していたが、政治は結果責任である。結果が伴わないことの政治責任に向き合わず、自己の立場を正当化するのは開き直りである。
 しかも、日米関係もこれまでにないほど悪化させた。昨年11月の日米首脳会談でオバマ米大統領に約束した早期決着を果たしていれば、首相や日本政府への米側の不信感はこれほど強まっていなかっただろう。首脳間の個人的な信頼構築には程遠く、4月の首相訪米時には公式首脳会談を設定できず冷え込んだ関係を象徴させた。

 ◆「尖閣」守れるのか

 安保改定50周年を迎えた今年、海上自衛隊への中国海軍の挑発行為や北朝鮮による韓国哨戒艦沈没事件は、同盟の深化と日米安保体制強化を喫緊の課題としている。にもかかわらず、普天間問題がそのための協議を阻害してきた。
 キャンプ・シュワブ沿岸部(名護市辺野古)に移設する現行計画を首相が白紙に戻したことで、仲井真弘多知事や県民らは実現可能性を疑いながらも、いたずらに県外移設への期待を強めた。1月の名護市長選では受け入れ容認派の前職が敗れ、4月には県内移設に反対する大規模反対集会が開かれて問題をさらに難しくした。
 安易なスローガンや口約束を乱発したあげく、期待を裏切った首相が県民の心をもてあそんだといえる。最終的には、地元も受け入れた経緯があり最も現実的な「辺野古」移設案に戻ったとはいえ、実現の困難さを考えれば移設は大幅に後退したとみるべきだ。
 さらに看過できないのは、27日の全国知事会議での尖閣諸島をめぐる発言だ。首相は「米国は帰属問題は日中間で議論して結論を見いだしてもらいたいということだと理解している」と述べた。
 「領有権問題は存在しない」というのが尖閣諸島に関する一貫した政府見解である。それなのに、中国と話し合う必要があるかのような発言は主権意識を欠いており、耳を疑う。

 ◆遅すぎた福島氏罷免

 共同声明は、普天間移設が海兵隊8千人のグアム移転や嘉手納基地以南の返還と連動していることを改めて確認した上で、代替施設の工法などの詳細を「いかなる場合でも8月末まで」に決定すると明記している。あと3カ月で地元の理解を得るのは困難にせよ、作業を加速し、何としても合意を達成しなければならない。
 基地の環境保全、漁場の使用制限の一部解除など米側が日本の要望に応える内容も盛り込まれた。双方が迅速かつ誠実に合意内容を実現していくことが、同盟の維持・強化に欠かせない。
 首相は「辺野古」明記を容認しない福島瑞穂消費者・少子化担当相を罷免した。安保政策が一致しない以上、当然の措置だが、あまりに時間をかけすぎ、国民の信頼を損なう結果となった。
 社民党の連立離脱論が強まる中で、与党議員ら180人が「将来の国外・県外移設」を政府対処方針に盛り込むよう求める声明を出したのも理解し難い。国家の安全保障よりも、選挙協力のための連立維持に奔走する政権与党の姿勢は極めて問題である。

社説:「普天間」政府方針 この首相に託せるのか(毎日)
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20100529k0000m070107000c.html
 日米両政府は、米軍普天間飛行場移設に関する共同声明を発表した。移設先を沖縄県名護市の「辺野古崎地区及び隣接水域」とし、米軍訓練の鹿児島県・徳之島をはじめ県外への分散移転、グアムなど国外移転を検討するという内容だ。
 政府は、共同声明に基づいて普天間移設と沖縄の負担軽減に取り組むとする政府方針を閣議決定した。
 鳩山由紀夫首相は、共同声明の辺野古明記に反発する福島瑞穂消費者・少子化担当相(社民党党首)が政府方針への署名を拒否する考えを表明したため、福島氏を罷免した。
 ◇「信」失った言葉

 普天間問題は首相が約束した、移設先の合意を含めた「5月末決着」も「県外移設」も実現できなかった。
 閣議後に記者会見した首相は、県外の約束が守れなかったことを謝罪し、辺野古移設について「代替地を決めないと普天間の危険が除去できない」と語った。また、移設先・沖縄の理解を得ることなどに「今後も全力を尽くす」と述べ、首相の職にとどまる考えを明らかにした。
 私たちは、鳩山首相が政治の最高責任者の座に就き続けることに大きな疑念を抱かざるを得ない。最大の政治課題、普天間問題での一連の言動は、首相としての資質を強く疑わせるものだった。これ以上、国のかじ取りを任せられるだろうか。来る参院選は、首相の資質と鳩山内閣の是非が問われることになろう。
 首相は5月末決着に「職を賭す」と語っていた。しかし、今回の日米大枠合意は、「辺野古移設」を具体的に決める一方で、沖縄の負担軽減策は、辺野古移設の「進展」を条件とする今後の検討項目となった。カギを握る移設先の同意は見通しも立たない。「決着」にはほど遠い。
 移設先をめぐる混迷は、より深刻だ。首相は「最低でも県外」「辺野古以外に」と明言した。「沖縄県民の思い」を繰り返し、「腹案がある」とも語った。06年日米合意の辺野古埋め立てを「自然への冒とく」と非難した。その結果が、現行案と同様の辺野古移設である。
 国の最高指導者が「県外」「腹案」と自信ありげに断言すれば、沖縄県民が県外への期待を膨らませるのは当然だ。それを裏切った罪は重い。
 県外から辺野古への変心は在日米軍の抑止力を学んだ結果だという。首相として耳を疑う発言だった。「最低でも県外」は党公約ではないと釈明を重ねる姿に、首相の威厳はない。
 鳩山首相の言葉は、羽根よりも軽い。そう受け止められている。政治家と国民をつなぐ「言葉」が信用されなくなれば、政治の危機である。
 首相が沖縄の負担軽減を願い、県外移設に込めた思いは疑うまい。しかし、希望を口にすれば実現するわけではない。政治は結果責任である。
 経済財政政策や深刻な雇用への対策、緊急の口蹄疫(こうていえき)対応、政治主導の国づくり、緊迫する朝鮮半島情勢--内政・外交の諸課題が山積している。しかし、首相の言葉が信を失った今、誰がその訴えに耳を傾けるだろうか。深刻なのはそこだ。
 日米同盟は日本の安全のために有効かつ必要である。「北朝鮮魚雷」事件で、改めてその思いを強くしている国民は多い。が、日米同盟の円滑な運営には、基地を抱える自治体との良好な政治的関係が不可欠である。辺野古移設を強行突破することになれば、その前提が崩れる。
 ◇まず普天間危険除去を

 沖縄の合意のないまま辺野古移設で米政府と合意したことは、沖縄には、日米両政府が新たな負担を押しつけようとしていると映っている。県外移設に大きな期待を抱いた沖縄の、首相への不信は深い。その落差を、当の鳩山首相が埋めるのは果たして可能だろうか。
 稲嶺進名護市長は受け入れ断固拒否の姿勢だ。11月に知事選を控え、かつて辺野古移設を容認していた仲井真弘多知事も、今回の日米合意の内容を認める環境にない。
 同月のオバマ米大統領来日にあわせ、辺野古移設の詳細で日米合意しても、実現の保証はない。「世界一危険な基地」普天間が継続使用される最悪の事態が現実味を増している。普天間問題への対応は明らかな失政である。その責めは鳩山首相自身が負うべきだ。
 普天間移設が現実に進展しないとしても、普天間問題の原点である周辺住民への危険除去は、ただちに取り組むべきだ。訓練分散などによる飛行回数の大幅減少は急務である。大惨事が起きかねない現状を放置してはならない。
 共同声明は、訓練分散移転のほか、米軍施設立ち入りなどによる環境対策、沖縄東方の「ホテル・ホテル訓練区域」の使用制限一部解除など新たな負担軽減策を盛り込んだ。これらの措置は辺野古移設の進ちょくを条件に実施されるとしている。これでは、負担軽減策が先延ばしになりかねない。特に、訓練分散など普天間飛行場の危険除去策は、移設作業と切り離して対応すべきだ。
 米政府にも、普天間の危険除去と騒音など生活被害対策に積極的に協力するよう求める。この点で日本政府には強い姿勢が必要だ。
 その解決の先頭に立つ指導者として、鳩山首相には不安がある。

福島大臣罷免/非は沖縄切り捨てた側に 政権トップの感覚を疑う(琉球新報)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-162770-storytopic-11.html
 これは異なことを聞く。沖縄の民意を踏みにじった首相が28日夜、民意を大切にするよう進言してきた閣僚の1人を罷免した。どういう了見だろうか。県民はとても納得できまい。
 日米両政府はこの日午前、宜野湾市にある米軍普天間飛行場の移設先を、名護市辺野古崎地区などとする共同声明を発表した。
 これを受けた政府方針への署名を社民党党首の福島瑞穂消費者行政担当相が拒んだことから、鳩山由紀夫首相が罷免を決めたというが、おかしいだろう。
 非は沖縄を切り捨てた側にあるのであって、首相こそ責任を問われてしかるべきだ。

■日米声明で決着せず
 日米の外務、防衛4閣僚で発表した共同声明は、海兵隊ヘリ基地である普天間飛行場の機能を名護市辺野古崎地区とこれに隣接する水域に移し、1800メートルの滑走路を建設する内容だ。鹿児島県徳之島など県外への一部訓練移転拡充を盛り込んではいるが、現行計画と大筋で変わらない。
 普天間飛行場は市街地のど真ん中に位置し、世界一危険とも言われる。その機能を辺野古に移設するということは、危険の県内たらい回しにほかならず、何ら問題の解決につながらない。そのことを県民は、選挙結果や県議会決議、県民大会開催など、あらゆる機会をとらえて訴えてきた。
 にもかかわらず、鳩山政権が過去の政権の「負の遺産」を無批判に受け継ぐとはどういうことだろう。「変革」「政治主導」を旗印に誕生した政権の取るべき道ではあるまい。
 首相は、普天間飛行場の移設先を「最低でも県外」「辺野古の海を埋め立てることは自然に対する冒涜(ぼうとく)」と発言してきた。今回の日米の再確認は、これらの発言に明らかに反しており、政治責任は避けられない。
 共同声明の発表にこぎ着けたことで、5月末決着の約束を果たしたと考えているなら、認識違いも甚だしい。
 連立を組む政党の党首でありながら罷免された福島氏は、会見で「犠牲を払ってきた沖縄の人たちに、これ以上の負担を強いるわけにはいかない」と話した。
 「米軍再編や在日米軍基地の在り方について見直しの方向で臨む」とした連立合意を踏まえれば、譲れない一線であったろう。
 一方の首相は、福島氏を罷免した後の会見で「国民の安全と生活にかかわる」と強調した。沖縄の人々を切り捨てておきながら、安全や生活を説く神経が知れない。政権トップの感覚、政治家としての資質さえ疑う。
 普天間全面返還で日米が合意した1996年、橋本龍太郎首相が出した沖縄問題についての首相談話は冒頭、こう記されている。
 「大戦で沖縄県民が受けた大きな犠牲と、県勢の実情、今日まで県民が耐えてきた苦しみと負担の大きさを思うとき、努力が十分なものであったか謙虚に省みるとともに、沖縄の痛みを国民全体で分かち合うことがいかに大切であるかを痛感している」

■民意無視合意は破綻
 侵略と植民地支配を認めて謝罪した95年の「村山談話」もそうだが、首相談話は政権が代わろうとも脈々と生きる、いわば普遍性を帯びたものだ。代々の政権は談話を踏まえた対応が基本的には求められる。
 橋本談話から14年。今回の日米共同声明はどうか。冒頭に日米同盟の意義を「抑止力の提供」など軍事的観点から長々と記し、二つ目の文脈でやっと「沖縄の負担」のことが出てくる。
 それも「閣僚は、沖縄を含む地元への影響を軽減するとの決意を再確認し、日本での米軍の持続的なプレゼンスを確保していく」とあっさり。後段で「過重な負担」の記述はあるが、全体として軍事優先の色合いが濃い。
 橋本談話にある「謙虚に省みる」姿勢や、痛みを「国民全体で分かち合う」大切さは忘れ去られた格好だ。
 そもそも、沖縄の積年の痛みを「負担の軽減」などという常套(じょうとう)句で片付けてほしくない。県民の切なる願いは「耐え難い苦痛の解消」であり、痛みを「再発させない抜本策」なのである。
 民意無視の合意はいずれ破綻(はたん)しよう。日米両政府は国外移設を軸に、実現性のある移設策を探るほうが賢明と知るべきだ。


[日米共同声明]首相の退陣を求める 沖縄を再び切り捨てた(沖縄タイムス)
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2010-05-29_6864/
 日米安全保障協議委員会(2プラス2)が28日に発表した日米共同声明は、鳩山由紀夫首相の選挙公約で県民の期待が高まった県外・国外移設を完全否定し、「対等な日米関係」を目指すとした政権公約を破棄するものになった。
 沖縄を再び切り捨てるこの国のあり方には寒気がするほどの不安を感じる。
 民主党が掲げた生活者中心の理念は米国を前にもろくも崩れ、これまで通りに軍事を優先させたからだ。沖縄の過重負担を前提にした差別構造の中で続く日米同盟の正体が透かし絵のように浮かび上がってくる。
 日米合意は2006年に自民党政府と米共和党政権がまとめた「ロードマップ」を着実に実施する決意を再確認したにすぎない。米軍普天間飛行場の移設先を名護市辺野古周辺と明記した。
 名護市で反対の市長を誕生させた地元の民意を両政府は踏みにじった。民主的な手続きを無視し続けた。
 県を含め地元とは協議しないまま、鳩山首相は4日の沖縄訪問で県内移設を宣告した。選挙中の「最低でも県外」の公約を党首としての発言でしかなかったと詭弁(きべん)を弄(ろう)した。「自然への冒〓(ぼうとく)」と言っておきながら、辺野古海域の埋め立てを前提としているのはむちゃくちゃだ。
 鳩山首相は記者会見で沖縄への思いを語りながら、本土移転を模索したと強調した。しかし陸空一体で運用する部隊特性に気づき、本土移転は断念したという。すべて移せばいいことだが、それに触れなかったのはごまかしだ。
 鳩山首相が勝手に決めた「5月末」期限のつじつま合わせに政府は腐心し、目線は県民へ向いていなかった。
 「辺野古回帰」の方針に沖縄は同意していない。
 これほどの混乱を招き、沖縄をもてあそんだ鳩山首相の政治責任は極めて重く、即刻退陣すべきだ。
 新たな合意には鹿児島県徳之島を訓練地として整備するほか、自衛隊施設の共同使用を盛り込むなど、米軍への提供施設を広げたことは鳩山外交の脆弱(ぜいじゃく)さを露呈した。
 これら大幅な譲歩を取り繕うように「ホテル・ホテル訓練水域」の使用制限を一部解除することを協議するという。沖縄問題をめぐる鳩山政権8カ月の迷走は結局、米政府に寄り添っていくプロセスだったのではないか。
 気がかりな文章が盛り込まれた。グアムで建設される基地の環境対策にも「在日米軍駐留経費負担(HNS)の一構成要素とすることを含め、検討する」という。なぜ私たちの税金を米国領の基地経費に回すのだろうか。
 しかも海兵隊グアム移転に伴う施設建設という一時的な資金提供を越えて、グアム基地の維持経費をHNSという制度の中に組み込もうとしているのではないか。
 沖縄返還交渉の中で日本に支払い義務がない資金を用立てた「密約」がいまにつながる巨額な経費負担の源流だと指摘されており、環境名目の資金投入が将来的にグアムでの「おもいやり予算」に変わっていくことを危惧(きぐ)する。
 沖縄問題をめぐる国内政治のどさくさに乗じて潜り込ませたようだ。納税者への説明責任をいったいこの政権はどう認識しているのだろうか。
 普天間飛行場を使っている海兵隊が沖縄に駐留する理由を歴代政権は説明してこなかった。政治主導を表看板としたはずの民主党政権が実態のない「抑止力」という軍事用語ですべてを押し切ろうとするのは、文民統制を自ら放棄したことになる。
 政府だけでなく、実態のない言葉で思考停止に陥ってしまう日本の歪(ゆが)んだ言論空間に危うさを感じる。
 首相は「辺野古」を明記した共同声明に反対する社民党党首の福島瑞穂消費者・少子化担当相を罷免した。信念を貫いた福島氏が切られた。閣内調整より米国との関係を優先した手法は間違っている。
 罷免すべきは臆面(おくめん)もなく嘘(うそ)をついた鳩山首相のはずだ。
※(注=〓は「さんずい」に「売」の旧字)

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追補
5月30日の笑点で林家木久扇師匠が座布団十枚を達成
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名護市市長選を受けての普天間をめぐる動き [普天間]

ついに1月が終わってしまう。
井関太郎の日々雑感が、月々雑感になってしまった。
それも、すっかり普天間ウォッチャーになってしまって、日々の動きに一喜一憂するのが嫌になったからだ。

僕は、1ヶ月前に普天間の行き先について予想した。
僕の予想?
1 他の候補地を一応挙げた上で結局辺野古に戻ると思う。
2 ただ…現行案では収まらないだろうから
今もやっている移転訓練を新たに広げるのと
更に振興策の上積みをすることになるのだろう。

つまり…それだけお金が余分にかかるということだ。
鳩山政権は、何をするにも出費のかさむ政府となるだろう。


その後の大きな変化として、名護市市長選挙があった。
そして、辺野古移設に反対する稲嶺氏が当選した。
だから、民意が反対するからといって日米合意を覆す理由になるだろうか?

読売より
名護市長に稲嶺氏、普天間合意の実現困難に
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20091215-481540/news/20100124-OYT1T00692.htm
 沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設受け入れの是非が最大の争点となった同県名護市長選は24日投開票され、受け入れに反対する新人で前市教育長・稲嶺進氏(64)(無=民主、共産、社民、国民推薦)が、容認派で自民、公明両党の支援を受けた現職・島袋吉和氏(63)(無)を接戦で破って初当選した。

辺野古施設に反対する稲嶺氏を民主党は推薦していた。
鳩山民主党が稲嶺氏を推薦しておいて、その人が当選したから「民意」だって言ったら、最初から日米合意を反古にするつもりで選挙したのかって事になる。つまり「自作自演」だ。
僕が合衆国大統領だったら、そんな日本国総理大臣を芥子粒ほどにも信頼できない。

ともあれ、選挙が終わったあとの官房長官の発言も、総理大臣の発言も、どう観たって辺野古へ戻るための予防線にしか見えない。
普天間、移設先自治体の同意いらず…官房長官
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20091215-481540/news/20100126-OYT1T00484.htm
 平野官房長官は26日午前の記者会見で、沖縄の米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設問題で、移設先の自治体の同意を得る必要性について、「理解は求めなくてはいけないが、合意が取れないと物事を進められないものなのか。日本の安全保障にかかわってくる問題だ」と述べ、同意の必要性はないとの認識を示した。

普天間移設「ゼロベースで検討」…首相言及
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20091215-481540/news/20100125-OYT1T01299.htm
 沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾市)の同県名護市への移設に反対する稲嶺進氏が、同市長選で勝利したことに関し、鳩山首相や岡田外相、平野官房長官らが25日、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部に移設する現行計画をなお排除しない可能性に相次いで言及した。

選挙後の政権内のドタバタは報道されたとおりだ。さらに徳之島云々ということも報道された。
確かに…県外で国内を追求するなら鹿児島県で、沖縄に近いところというのはまああり得るのかも知れない。
tokunoshima.jpg
しかし、その可能性はどうだろう?
「僕が辺野古に戻る」と予想する理由の一つは、新たな受け入れ先の説得だ。
大概の自治体では、このあと3月に議会が行われる。
ここでは平成22年度の事業や予算が審議される。
その頃までに自治体の受け入れについて一定の理解を得ておかなければ5月までに米国との合意にはこぎ着けられない。
そのためには、理解を得るための振興策などの「見返り」について一定の目算が立っていなければならない。
つまり、国と地元自治体との「ギブアンドテイク」が成り立たなければならない。
それを折衝するためには数ヶ月というのはあまりにも短い。
そう言う意味で、新たな移設先を今年5月までに決めるというのは200%不可能だ。
やはり辺野古に戻らざるを得ない。

そこで、名護市市長選挙結果を受けて、昨年末の予測に追加する。
1 他の候補地を一応挙げた上で結局辺野古に戻ると思う。
2 ただ…現行案では収まらないだろうから今もやっている移転訓練を新たに広げるのと更に振興策の上積みをすることになるのだろう。
3 加えて、鳩山総理の「クビ」を差し出すことになるだろう。

若しくは
結局決められず、鳩山総理が政権を投げ出す。

つまり
A 住民に目を向ければ、辺野古に決められずに政権を投げる
B 米国に目を向ければ、辺野古に決めて政権を降りる。

彼ならばAにするかもしれない。

またしばらく、じっと推移を見守りたい。

普天間はなぜ移設せねばらなぬのか? [普天間]

読売より
普天間移設先、国内で候補検討へ…首相
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20091226-OYT1T00984.htm
 鳩山首相は26日、沖縄県の米軍普天間飛行場の移設問題について、米領グアムを新たな移設先とするのは困難だとの考えを表明した。
 現行計画に基づく同県名護市辺野古に代わる移設先として、これまでに浮上している国外の候補地はグアムしかなく、首相の発言は事実上、移設先を「国内」に絞る方針を示したものだ。社民党は「国外移設」を目指し、グアムへの全面移設案を主張しており、首相の発言に反発している。
 首相は26日、ラジオ日本の正月番組収録で、社民党が政府に検討を求めているグアムへの移設案について、「一つの候補地として可能性を検討すべき時があったのかもしれないが、現実の中で考えれば、抑止力の観点から見て、グアムにすべて普天間(の機能)を移設するのは無理がある」と述べ、可能性を否定した。
 「国内で解決するということか」と司会者に問われると、「そうだ」と述べた。
 首相は、2006年の日米合意に在沖縄海兵隊8000人のグアム移転が盛り込まれている点を指摘し、「それ以上というのは、なかなか難しい」とも述べた。
 政府は与党3党の実務者級との協議機関で新たな移設先を選定する方針で、28日に首相官邸で初会合を開く予定だ。
 普天間飛行場の新たな移設候補地をめぐっては、社民党が米領グアムを挙げているほか、国内では、硫黄島(東京都)や、大阪府の橋下徹知事が提唱した関西国際空港(大阪府)の活用案などが挙がっている。しかし、沖縄県の米軍嘉手納基地への統合案や下地島、伊江島も含め現行計画の名護市以外は実現性に乏しいと見られている。米政府は現行計画が唯一の案だとしている。
(2009年12月27日03時02分 読売新聞)

普天間をめぐる論議は混迷の末、先送りとなっている。
混迷の間に、いくつかの地名が挙げられた。
12月13日放映の「バンキシャ!」では普天間の代替地候補の論議のある場所として、下地島、伊江島、馬毛島、佐賀空港、新田原基地、築城基地、関西国際空港、グアムを挙げている。
馬毛島のある西之表市長などは公の論議となる前からわざわざ防衛大臣のところまで反対表明に行った。
altanative.jpg

この辺の論議を見ていると、「普天間」をなぜ移設しなければならないのか、その理由が充分に認識されていないのではないかと思う。
それも、普天間移設論議のきっかけが、米兵による少女暴行事件だから、まるで普天間にいる「海兵隊=変態性犯罪者集団」をどこか別の場所に持っていくのが目的だと思っている人が多いのではないだろうか?

別に海兵隊員がいるのは普天間だけではない。
http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2009/2009/image/l3201020.png

それよりも、普天間の危険性だ。
普天間は「世界一危険な基地」と呼ばれているらしい。
滑走路の両端に密集した市街地が迫っている。
これ↓は確かに異常な状態だ。
futenma.jpg
嘉手納↓は滑走路の南側が海、北側は軍用地などだ。
kadena.jpg
岩国↓は現行の滑走路の東側にコンビナートがあるが、沖合に移設する工事が進んでいて、これが完成すると滑走路の両端が海となる。
iwakuni.jpg
厚木↓も周辺に市街地が多いが、滑走路の両端はゴルフ場だったりする。
atsugi.jpg
横田↓は滑走路の両端を含めて市街地が多いが、普天間ほどに迫っていないのと、軍民共用化論議があるくらいだから滑走路の使用頻度が少ないのかも知れない。
yokota.jpg
そうすると、
普天間の飛行場としての危険性除去が第一の目的であることがわかる。

次いで、抑止力。つまり現在の海兵隊のプレゼンスという観点がある。
台湾海峡、朝鮮半島に一定の距離にあるというのである。

futenma_range.jpg
更に、他の海兵隊施設との関係である。
http://www.mod.go.jp/rdb/okinawa/05kannaizu/kannnaisisetu.html
キャンプハンセンやキャンプシュワブに近接しているということは、運用上の利点があるのだろう。
そこまでの観点から見れば、辺野古はよい選択肢だと思う。


しかし、問題はそれだけではない。
米軍にとっての利点は沖縄県民にとっての不利点にもつながる。
特にリンクの図で見たとおり、キャンプハンセンなどは沖縄本島の真ん中に大きく横たわっていて、人の行き来を制約している。
さぞや不便なことだろうと思われる。
それがいわゆる「基地の負担」だとしたら、それに対する対策がいる。
振興策と引き替えに仲井真知事が辺野古を容認している由縁だ。

米兵の犯罪の問題は、その件数を言えば米兵以外の犯罪の方がよほど多い。
http://www.moj.go.jp/HOUSO/2009/hk1_1.pdf
むしろ、地位協定によりその捜査がはかばかしくない事にある。
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20091227STXKG018826122009.html
この読谷のひき逃げ事件は必ず解決してほしいものだ。
政府が引き渡し要求に及び腰という理由がわからない。

まだまだ解決すべき要素はあるのだろう。
鳩山総理があと5ヶ月でどのような結論を持ってくるのか…楽しみなような…恐いような

僕の予想?
他の候補地を一応挙げた上で結局辺野古に戻ると思う。
ただ…現行案では収まらないだろうから
今もやっている移転訓練を新たに広げるのと
更に振興策の上積みをすることになるのだろう。

つまり…それだけお金が余分にかかるということだ。
鳩山政権は、何をするにも出費のかさむ政府となるだろう。

普天間移設先決定の先送りをめぐる五紙の社説 [普天間]

各紙は鳩山総理の普天間をめぐる指導力の欠如に深い憂慮を示すことで揃った。
その視点は、日米安全保障体制の危機や普天間基地周辺住民の危険性など様々ではあるが、総理の指導力を求めている点で一致している。
国内の他の場所を探すというのも…社民党に言われたから探すという性根が情けない。
本気で探す気なのか…
それとも社民党に対するアリバイ工作なのか…
いずれにしても決断が遅れれば遅れるほどあとに災厄の火種を残す…

産経より
【主張】普天間問題 年内決着へ再考が必要だ
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091205/plc0912050259006-n1.htm
 鳩山由紀夫首相はいったい、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題をどう決着したいのか。最近の発言はこれまで以上に揺れ動いており、真意のほどもわからない。
 米国側も表面上はともかく、途方に暮れるばかりだろう。日米同盟の信頼性を損ない、日本の安全保障をきわめて危うくしている。これで国民の安全と繁栄を守る国家の責務を果たすことができるのだろうか。
 年内に決着させるべきだ。再考を強く求める。
(中略)
 国内政治の要因に外交・安保政策が左右されてはならない。政権の中心をなす民主党が責任をもって意思決定すべき案件だ。
 米側から見れば、さらなる迷走を重ねた上、国家の安全よりも連立政権の内部事情を優先させるかのような選択は二重の意味で失望と不信に拍車をかけただろう。
 来年は1月の名護市長選、11月の沖縄県知事選や夏の参院選がある。決着の遅れは事態を複雑化し、決断を難しくする。そうなる前に鳩山首相が責任をもって結論を出さなくてはならない。

読売より
普天間移設 年内決着へ首相は再考せよ(12月4日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20091204-OYT1T00006.htm
 米海兵隊普天間飛行場の移設問題で、鳩山首相が年内決着を断念する意向を固めたという。
 現行計画に反対する社民党や、それに同調する国民新党に配慮し、連立政権の維持を優先するためだとされる。
 鳩山首相は従来、「日米の合意は重い」「沖縄の思いが大事」などと繰り返してきた。米国も、沖縄県も、移設先の名護市も、現行計画による早期決着を切実に求めている。首相は再考すべきだ。
 首相は日米首脳会談で「迅速な解決」に合意し、「私を信頼して」とまで見えを切った。その後、日米の閣僚級の作業部会で、県内移設の現行計画を軸に調整を急いできたのは、何だったのか。
 米政府が今後、首相と日本政府に対して、不信感を一段と募らせるのは確実だ。作業部会で前向きの結論を出す機運も低下するだろう。日米関係全体に与える悪影響は計り知れない。
 結論を年明け以降に先送りしても、問題の解決に向けて、その後の具体的な展望が首相にあるとは思えない。
(中略)
 参院で各5議席ずつしかない社民、国民新の両党に配慮するあまり、画期的な沖縄の基地負担軽減策や日米関係を危うくするのは、避ける必要がある。
 重要な法案や政策については、自民党など野党に個別に協力を要請し、連携するといった工夫をすることで、政権を運営していく手法も十分検討に値しよう。

日経より
社説1 普天間問題の決着先送りを憂慮する(12/5)
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/index20091204AS1K0400204122009.html
 鳩山由紀夫首相は、沖縄の米軍普天間基地の移設問題の決着を来年に先送りし、新たな移設先も探す考えである。岡田克也外相、北沢俊美防衛相ら安全保障当局の主張よりも、連立離脱の決意を述べた社民党の福島瑞穂党首に対する配慮を優先した結果とされる。
 判断ミスである。日米関係のみならず、鳩山首相の求心力にも暗雲が垂れ込める。経済運営にも影響しかねない。首相自身が政権の危機に気づいていない現状を憂慮する。
(中略)
 年内と越年決着の差が数カ月ならば本来はさほど深刻な問題ではないが、予算編成という節目を逃せば、来年は1月に名護市長選挙、11月に沖縄県知事選挙がある。越年は決着の無期限延期になりかねない。
 その場合、米側は鳩山政権を信頼に足る相手と考えるだろうか。約束の実行を無期限延期する相手を信頼できないと考えるのが普通だろう。平野氏は「これがこけるとすべてパーという議論ではない。そんな薄い日米関係ではない」とも語る。
 国と国との関係では、それは必ずしも間違いではないが、政権と政権との関係が首脳同士の行き違いで壊れた例は少なくない。現在の日米関係は、双方ともことし生まれた政権であり、首脳間に信頼の蓄積は実はほとんどない。日本国内でも、毎日揺れる鳩山発言をまともに受け止められなくなっている。
 首相は直視したくない現実を直視する必要がある。オバマ大統領と並んで立ち「時間がたてば、より問題の解決が難しい」と述べた瞬間を思い出せば、何をすべきかは明らかである。首相自身が調整に乗り出し、米側と一致できる結論を年内に見いだすことである。
 展望なき不作為のつけは、鋭い刃になって首相自身に返ってくる。

朝日でさえ、日米関係の悪化に懸念を表明している。
ただ、時間をかけて米側を説得することへの期待もないわけではない。
普天間越年―鳩山首相は自ら道筋を
http://www.asahi.com/paper/editorial20091204.html
 日米の合意は重い。基地負担を軽減してもらいたいという沖縄県民の思いにも応えたい。米海兵隊の普天間飛行場の移設をめぐって、この二律背反に苦悩していた鳩山政権にもうひとつ、重荷が加わった。
 連立パートナーの社民党が、辺野古移設なら連立離脱も辞さずという方針を固めたことだ。政府は態度を決めあぐね、年内を目指していた問題の決着を先送りする見通しになった。
 米政府が求めている辺野古への移設を受け入れるのか。自民党政権時代の合意であるこの案を見直し、辺野古以外を探るのか。とても難しい選択だ。
 鳩山由紀夫首相は、辺野古以外の候補地も検討するよう岡田克也外相らに指示したが、いずれにしても政治的に大きなコストを伴う判断になる。
 だが、方向感を示さないまま判断をただ先送りすれば、ぐずぐずと決断できない政権という、不名誉な印象が国内外に広まっていく。国民や沖縄県民もそうだろう。そして米国政府は失望し、不信を募らせるに違いない。
 首相はなぜ結論を先送りするのか、もつれる諸条件の何を優先してこうなっているのかを、国民にも米政府にもはっきりと説明すべきだ。
 首相は「年内じゃなければだめだと申し上げたことはありません」と語った。だが、問題は検討に時間をかければ、いずれどこかに落ち着くというほど簡単ではない。
(中略)
 政府内では、辺野古移設を土台にした修正案で打開を探る動きがあった。だが、社民党を連立に引き留めるためには封印しようということだろうか。
 参院での過半数確保を優先した判断だとすれば、普天間問題は事実上、来夏の参院選まで動かないことになる。
 首相が辺野古以外の選択肢を追求する意思があるなら、それも重い判断である。政権が交代した時にそうした見直しを米国に求めるのは、欧州の同盟国でもあることだ。
 ただ、国内調整にも対米交渉にも時間がかかる。必要なのは、その方が日米同盟の長期的な安定に役立つという説得力のある説明だ。内政上の理由でただ先送りでは、失うものは大きい。

毎日は普天間基地周辺住民を懸念する。
社説:「普天間」越年 首相は明確な展望示せ
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20091204ddm005070100000c.html
 鳩山内閣は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題の結論を来年1月以降に先送りする方針を固めた。同県名護市辺野古への移設という日米合意で年内決着を目指す方向が強まる中で、「県外・国外」を主張する社民党が連立離脱の可能性を示唆し、政権運営に支障を来しかねないとの判断による。
 参院で過半数を得ていない民主党としては、来年の通常国会を控え、社民党の離脱は避けたいということなのだろう。しかし、普天間は政権の最大の懸案の一つである。解決の方向性が見えないままの越年は、単純な「展望なき先送り」でしかない。鳩山由紀夫首相は、政権内の意思統一に全力を挙げ、越年するにしても明確な展望を示すべきである。
 鳩山首相が公約してきた「少なくとも県外」や辺野古以外の沖縄県内を移設先としたり、「在日米軍基地のあり方の見直し」(民主党マニフェスト)と連動させて移設先を検討するとすれば、米国側との再協議が必要となり、決着に時間がかかることもあろう。しかし、今回の越年の決断にそうした議論はなく、連立をめぐる政局的な対応でしかない。
(中略)
 問題は、鳩山首相の指導力の欠如である。首相は、沖縄県民の「思い」と負担軽減、日米合意の重要性を指摘しつつ、「最後は私が決める」と強調するばかりで、具体的な方向を示すのを避け続けてきた。移設問題の現在の混迷を招いた責任は鳩山首相にある。
 普天間飛行場とフェンス1枚隔てる普天間第二小学校は、離着陸する米軍機の騒音に悩まされ、毎年春には、米軍機の校内墜落を想定した全校児童の避難訓練を強いられている。住宅密集地にある同基地の移設は、こうした異常な事態を解消し、周辺住民の安全を確保するために必須であり、政府の責任だ。
 鳩山首相のリーダーシップの放棄は、普天間飛行場の固定化に手を貸すことに他ならない。

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